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インテリアの旅に出よう
日本伝統の木工技術を活かして木製家具を作る専門メーカー 日本伝統の木工技術を活かして木製家具を作る専門メーカー

Meet with TAKUMI KOUGEI Meet with TAKUMI KOUGEI

旭川市から車で1時間弱。大雪山連峰に抱かれた北海道上川郡東神楽町で、日本伝統の木工技術を活かした木製家具作りを行なう「匠工芸」。2014年の「ASAHIKAWA DESIGN WEEK(旭川デザインウィーク)」で、その製品のクオリティと高いデザイン性に魅了され、匠工芸の家具のデザインも手がけているデザイナーの小林幹也氏とも出会うことができました。

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寛ぐだけでなく書斎でも使える機能的なロッキングチェア。
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シンプルな構造で組み立ても簡単なyamanamiシェルフ。

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美しいディテールのTVボードはお部屋のアクセントに。ゆっくり開閉するプッシュオープン式の格子扉は、熱がこもらず機能的。

匠工芸の特長は、何よりどの製品にも大量生産のものとは一線を画する、手づくりの温かさがあること。特注家具専門の工場で、自然の素材を使い、熟練の職人が手仕事を大切にしながら、ひとつひとつ仕上げる逸品ばかりです。また、デザイン性が優れているのはもちろん、暮らしの中で永く使う人のことを考え、作られている点も大きな魅力のひとつ。家具は一般的に、洗練されたシンプルなデザインを追求すればするほど、部材などの要素が少なくなり、その分、強度が損なわれることになってしまいます。しかしここでは、部材を繋ぐ際の接着剤も、ひとつひとつ刷毛を使って手作業で塗ることで製品の強度を向上させるなど、手間とコストを惜しむことなく注いだ家具づくりを行なっているのです。

すべての製品に、職人の手の力と使う人への想いを感じることができる。使い手のことを考え尽したものづくりを続ける匠工芸は、そんな上質の家具を届けてくれるのです。

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たたむとコンパクトになるライティングビューロー。同じ素材のミラーやチェアで空間に馴染む素敵なワークスペースに。

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今回、野村不動産・リノベーションルームのインテリアコーディネートをデザイナー・小林幹也氏に手がけてもらい、匠工芸が提供する家具の魅力を存分に盛り込んだ空間づくりを行なう試みが実現しました。メインに据えられたのは、匠工芸と小林氏が展開するブランド「yamanami(ヤマナミ)」シリーズの家具。大雪山連峰の山並に囲まれているような、穏やかで温かい暮らしをイメージして作られた「yamanami」の家具は、いずれも温かく柔らかい起伏や曲線を活かしたデザインが目を惹きます。

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体に寄り添う優しいフォルムのロープチェア。
革のバックレストが心地よく腰をサポートします。

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カラフルな天板の木目が側面、裏面までつながる
滑らかな肌触りのオーク材のリビングテーブル。

ダイニングチェアは、背もたれなど、使う人の身体が触れるところは有機的なフォルムが採用され、脚などの構造部分はシンプルな形状で構成されています。それにより、有機的な部分の優しさや温かさが、より際立つよう工夫が施されているのです。一方、「要素が少ない分、デザインが難しい」と小林氏が語るテーブルは、「床が浮き上がってそのまま天板になったような、空間を邪魔しない」シンプルなデザイン。そして、どんなにシンプルであっても、手作りの温かさを備えているのが魅力です。美しいチェアやテーブルに姿を変えた滑らかな無垢材の手触りも、温かさと和らぎを与えてくれるでしょう。

使う人の暮らしや1日の時の流れを考えながら、家具のデザインを行なうという小林氏。このようなインテリアを配した空間では、普段、家にいるときのように、椅子に腰かけて部屋を眺め、実際に家具に触れることで、一層のリアリティを実感できるといいます。これからも小林氏は、匠工芸との、そして野村不動産とのコラボレーションで、暮らしを彩る家具と、素敵な家具のある空間を提供してくれることでしょう。

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ダイニングからリビングまで、天然素材の家具で
トータルコーディネートできるラインナップ。
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無垢材の有機的なフォルムやボリュームのある
柔らかいクッションで構成された椅子やソファ。

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2008年から匠工芸のデザインを手がけている小林幹也氏は、「yamanami」や「LAND,SUN(ランド,サン)」などのシリーズを展開。ここの家具作りに共感するのは、「暮らしの中から家具を考える」ところだと語ります。

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家具デザイナー 小林幹也氏
家具、プロダクトからインテリアデザインまで国内外で幅広く活動。

「私が大切にしているのは、調和とバランス。家具があり、それを使う人がいる時に、その住空間が一番いい状態になることを想定してデザインを行なっています。その意味では、自分のデザインスタイルは、空間よりも"暮らしをつくる"と表現したほうが正確だと思います。匠工芸さんは、使う人と使う人の暮らしに想いを馳せた家具作りを信条としているところが本当に素晴らしくて、共感している点です」

人が住まう空間に家具を置き調和とバランスを取るには、空間を活かすことが大切だと、小林氏は考えています。

「私は3歳から20歳ごろまで書道をやっていましたが、最初は一文字書いて失敗したら捨てていた。でもある時、最後まで書いて全体でバランスを取ればいいと気付いたんです。バランスが取れれば、余白が美しく見える。家具も同じで、置いたときに空間が豊かになる。そんなデザインを目指しています」

匠工芸の決して多数決でデザインを決めず、常に突き詰めて考え、いいものを作るということに妥協しない姿勢にも感動を覚えるという小林氏。今後も、"暮らしをつくる"ためのデザインで、人々の住まいを豊かにしてくれることでしょう。

「仕事を通して、多くのことを学ばせてもらっています。私自身、リノベーション事業に取り組み始めたところでもあり、こういった空間作りに参加できるのは嬉しいですね。これからも、暮らしの中で家具を感じてもらえるような取り組みを行なっていきたいと思います」

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木の呼吸を感じる手作りの家具の温もりは暮らしに溶け込み、穏やかな時間が流れます。