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新築マンションの平均価格が大幅上昇!
都心のマンション住宅動向

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首都圏のマンション価格が上昇を続けており、不動産経済研究所の調べによれば、2021年10月の首都圏マンションの平均販売価格はバブル期の1990年の同月を上回り10月としては過去最高となりました。

一方で2021年12月には価格調整の局面を迎えており、都心のマンション市場に変化が起きつつあるといえるかもしれません。

価格調整とは、以下のような要因などで需給のバランスが崩れ、上昇を続けてきた都心のマンション価格が下落に転じるということです。

  • マンションを保有していた投資家ら等が利益確定のためにマンションを一斉に売り出す
  • 金利が上がりマンションを購入する世帯が減少する

これからマンション購入を考えている人にとって、都心のマンション市場において2021年は何が起こったのか、2022年以降はどのようになると予測できるのかという点は大きな関心事でしょう。

都心のマンション市場はどのように推移していくのか、マンション価格上昇の背景にはどのような要因があるのか、本記事ではこの2点に言及したうえで、2022年以降のマンション投資について考察していきます。

コロナ禍での不動産市況

コロナ禍での不動産市況について、新築・中古に分けて分析します。

  • 新築マンション価格の推移
  • 中古マンション価格の推移

新築マンション価格の推移

不動産経済研究所が2022年1月25日に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2021年12月」によると、2021年12月の首都圏(1都3県)における新築マンションの平均価格は5,384万円/戸、80.6万円/平方メートル)でした。

首都圏の新築マンション価格は前年同月比で平均価格が-236万円(-4.2%)、1平方メートル当たりの単価が-3.1万円(-3.7%)と平均価格は6ヵ月ぶり、平方メートル単価は2ヵ月連続の下落でした。

平均価格および前年同月比を地域別でみると、東京23区が8,043万円(+7.7%)、神奈川県が5,212万円(-0.4%)、埼玉県が4,599万円(+0.8%)、千葉県が3,954万円(-2.4%)です。

1平方メートル当たりの単価も同様に見ると、東京23区が121.2万円(+5.3%)、神奈川県が77.5万円(-3.2%)、埼玉県が70.3万円(+4.9%)、千葉県が60.1万円(+5.6%)となっています。

首都圏全体で評価するとやや価格調整の局面に入った可能性が示唆されますが、地域別で見ると堅調に推移しているエリアもあるため、マンション購入を検討する際には「どのエリアに買うか」という点が今まで以上に重要になるでしょう。

中古マンション価格の推移

東京カンテイが2022年1月24日に発表したプレスリリース「中古マンション価格(年間版)」によると、2021年の首都圏における中古マンションの70平方メートル当たりの価格は4,166万円(59.5万円/平方メートル)でした。

前年比で平均価格および1平方メートル当たりの単価ともに+11.6%上昇し、新築マンションよりも高い上昇率を記録しました。

70平方メートル当たりの価格および前年同月比を地域別でみると、東京23区が6,333万円(+9.8%)、神奈川県が3,114万円(+8.4%)、埼玉県が2,528万円(+10.8%)、千葉県が2,292万円(+8.7%)でした。

中古マンションは首都圏のいずれの地域においても値上がりしており、首都圏全体で見ると新築マンションよりも上昇の勢いが強いといえるでしょう。

なぜ都心のマンション市場が活況なのか

都心のマンション市場が活況である主な要因として、以下2つが挙げられます。

  • 富裕層の資金が住宅に流れている
  • 中古マンションの在庫が減少

富裕層の資金が住宅に流れている

都心部を中心とする日本のマンション市場には、以下3つの理由から国内外の富裕層の資金が流入しています。

  • 共働きのパワーカップルが増加している
  • 日本では低金利でローンを組める
  • 日本のマンションは安定した利回りを稼げ、かつ世界的に見て割安である

共働き世帯が増加し世帯年収が増加することで住宅ローンを組みやすくなっていることに加え、貸出金利が低いことから国内外の富裕層によって実需や投資のために都心のマンションが買われているということです。

実際に、「共働きで高収入のパワーカップルは、2億円台でも購入対象に入れている」という大手マンションデベロッパー社長の声や、日本でのマンション購入額を今後増やすというアメリカ系不動産投資会社の考えが市場では聞かれています。

中古マンションの在庫が減少

中古マンションの在庫は2017年秋頃には約2.2万件に積み上がり、2020年5月までは高止まりの状態が続いていましたが、同年6月から減少が始まり2021年5月には約1.7万件にまで落ち込みました。

在庫の減少もマンション価格の上昇をもたらす一因となり得ます。購入需要に大きな崩れがない中で在庫が減少すると、需要と供給のバランスが需要過多に傾き、価格が上昇するためです。

マンションへの投資は今後も続きそう

2022年以降も首都圏のマンションは、国内外からの資金流入により実需および投資の両面からの高い需要が続くでしょう。

不動産経済研究所によれば、2022年における首都圏のマンション供給予測は+4.6%の3.4万戸で2年連続での増加となっており、旺盛な住宅ニーズに支えられて活況が続くと予測されています。

都心人気が一段と顕著になる一方で、在宅ワークの普及によって郊外の物件にも注目が集まっていることから、都心部のみならず首都圏の郊外においても駅近物件を中心に価格の高止まりが続くこともあり得るでしょう。

著者:吉田 謙太郎

宅建士・不動産投資家・ライター|筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などを行う。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。