NISAとiDeCoはどちらも資産運用を通して税金を節約できる制度です。2022年3月現在、株式の利益にかかる税金は約20%であり、税金の分だけ利益が減ってしまうため節約したいところです。
それぞれの制度の特徴とメリット・デメリットを理解し、どちらの制度を利用して資産運用を始めるべきか考えていきましょう。
NISAは一般NISAとつみたてNISAの2種類がある
NISAは限られた投資額の中であれば利益に対して税金がかからない制度です。NISAという制度には一般NISAとつみたてNISAがあり、どちらか1つしか利用できません。それぞれのNISAの種類について見ていきましょう。
一般NISA
対象 | 日本に住む20歳以上の人 |
投資金額 | 年間120万円(最大600万円) |
投資期間 | 最長5年 |
投資対象 | 株式、投資信託 |
出典:金融庁
一般NISAは、20歳以上の人を対象に5年の間、年間120万円までの投資で得た利益に税金がかからなくなる制度です。対象となるのは株式や投資信託です。
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめて専門家が運用して、その利益を投資額に応じて分ける商品です。つみたてNISAやiDeCoでも投資信託へ投資できます。
つみたてNISA、iDeCoでは株式に投資できないので、株式に投資したいと考えている方に一般NISAはおすすめです。
つみたてNISA
対象 | 日本に住む20歳以上の人 |
投資金額 | 年間40万円(最大800万円) |
投資期間 | 最長20年 |
投資対象 | 投資信託 |
出典:金融庁
つみたてNISAは、一般NISAよりも長期の資産運用に特化した制度で、最大20年の間、年間40万円の投資の利益に対して税金がかからなくなります。
対象は投資信託のみであり、株式には投資できません。投資信託は専門家に運用を任せられる商品であるため、初心者でも実践しやすい投資方法です。
最大20年という期間で投資信託を通して長期的な資産運用をしたいと考える方はつみたてNISAがよいでしょう。
NISAのメリット・デメリット
NISAは制度を利用している間でも自由に売却してお金を引き出せるのがメリットです。資産運用を進める上で、売却して利益を確定したい場合や、お金が必要になった場合でもすぐに対応できます。
デメリットは、一般NISAは投資において税金がかからなくなる期間が5年であるため、10年以上を前提とする長期の資産運用には向いていません。つみたてNISAは投資対象が投資信託しかないので、運用の選択肢がせまいことがデメリットとして挙げられます。
資産運用で作る年金iDeCoとは
対象 | 20歳以上60歳未満※1 |
投資金額 | 月額5,000円から |
投資期間 | 60歳まで |
投資対象 | 投資信託、保険商品、定期預金 |
※1 2022年5月からiDeCoに加入できる年齢の要件が拡大し、60歳以上65歳未満の方も加入できるようになります。
出典:iDeCo公式サイト
iDeCoは年金制度の1つであり、毎月一定の金額を積み立てながら投資し、資産運用で得た利益を60歳から年金として受け取れます。NISAと同様に投資の利益に対して税金がかからなくなります。
月額5,000円から積み立てが可能で、積立金額の上限は国民年金の加入状況によって変化する仕組みです。最大の積立金額は自営業者やフリーランスの方で月額6万8,000円です。
iDeCoの投資対象はiDeCoの口座を開設する金融機関によっても異なりますが、投資信託だけでなく、保険や定期預金も選べます。
20歳から加入し、60歳まで積立を続けた場合は40年間投資できるので、加入者の年齢によってはつみたてNISAよりも長期で運用できます。老後に備えた資産運用を行う場合におすすめの制度です。
iDeCoのメリット・デメリット
iDeCoはNISAと比較すると税金の節約に関するメリットが大きいです。積み立てた金額を確定申告や年末調整で申告すると所得税や住民税も節約できます。また、60歳以降にiDeCoを受け取る際にも税制的に優遇されるので、税金の節約を意識するならiDeCoのほうが優れています。
一方で、iDeCoは基本的に60歳までの中途解約や、資金の引き出しを認めていません。老後に備える目的の資産運用以外に利用できない制度であるため、投資の目的が制限されていることがデメリットといえるでしょう。
NISAとiDeCoはどちらを選ぶべき?
NISAとiDeCoのどちらを選ぶかは資産運用の目的によって異なります。老後に備える目的であればiDeCoが優れていますが、住宅の購入費用や子供の教育資金の用意などの老後以外のイベントを目的に資産運用を始めるなら、途中引き出しできるNISAのほうが対応しやすいです。
資産運用の目的を意識して、どちらの制度を選ぶべきか考えましょう。ただし、NISAとiDeCoは併用できるため、資産運用の目的が複数ある場合は、両方の制度を利用する選択肢もあります。
著者プロフィール
大谷 惇途
慶應義塾大学卒業。投資・ローン・税金などの金融分野を中心に5年以上の記事執筆経験がある金融ライター、現在はフリーランスで活動中。学生時代から株式投資を中心にさまざまな投資を行う。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。
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