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ふるさと納税は節税ではない!?
それでもやったほうがいい?

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ふるさと納税と聞いて、みなさんはどのような印象をお持ちでしょうか?

  • 「多くの人が利用しやすい節税方法」
  • 「サラリーマンが行える節税方法の1つ」
  • 「お得な返礼品がもらえて節税までできる」

ふるさと納税で節税ができると思われている方は少なくありません。ところが、「支払う税金を減らす」という意味では節税とはいえないかもしれないのです。

本記事では、ふるさと納税が節税ではない理由を解説します。さらに、それでもふるさと納税したほうがいいメリットと、ふるさと納税の申請方法について紹介します。

ふるさと納税が節税ではない理由

ふるさと納税が節税ではない理由は主に2つありますので、それぞれ紹介します

  • 納税額が減る制度ではない
  • 自己負担により支払額が増える

納税額が減る制度ではない

ふるさと納税の仕組みは、自治体を選んで寄付を行い、寄付額をもとに翌年に納める所得税と住民税の控除をおこなう制度です。ふるさと納税の控除額は、寄付額を上回ることはないので、支払う税金が減ることはありません。

ふるさと納税により2万円の寄付をしたとき、控除額は次のように計算されます。

・2万円(寄付額)-2,000円(自己負担額)=1万8,000円(控除額)

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引用:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」(参照:2022年10月31日)

自己負担額の2,000円を除く、寄付額の全額が控除される仕組みです。つまり、支払う税金が少なくなるわけではなく、実質的には「税金の前払いをおこなう制度」ということになります。

自己負担により支払額が増える

ふるさと納税には2,000円の自己負担額があるので、通常の納税と比較すると自己負担分の支払額が増えます。さらに、ふるさと納税には控除される額に上限があり、上限を超えた寄付は控除の対象にならず、単なる自己負担になってしまいです。

例えば、控除上限額が3万円にも関わらず、4万円の寄付をした場合は、超過した1万円も自己負担になるので自己負担額は1万2,000円になります。

このように、上限金額を超過して寄付してしまうと自己負担額が増える可能性があるので、控除上限額がいくらなのかリサーチするなど計画的に利用するようにしましょう。

以下は総務省「ふるさと納税ポータルサイト」の全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安がわかる早見表です。上限がいくらなのか、事前に確認してみましょう。

総務省「ふるさと納税ポータルサイト 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」(参照:2022年10月31日)

ふるさと納税は節税ではないがメリットの大きい制度

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ふるさと納税は納税額を減らすという意味では節税ではありませんが、利用することでメリットが得られます。主なメリットを2つ紹介します。

  • 寄付に対して返礼品が受け取れる
  • 自己負担以上に実質的なリターンが大きくなることがある

寄付に対して返礼品が受け取れる

ふるさと納税を利用して自治体に寄付をおこなうことで、返礼品が受け取れます。返礼品は自治体によって異なりますが、米や肉などの食品や、家具や工芸品などの生活にも役立つ価値のある商品が対象になります。

<ふるさと納税の返礼品おすすめ人気ランキング>

1位 [新米]20kg 令和4年産さがみのり (5kg×4袋)
2位 S001-001_黒毛和牛 切り落とし 1kg A4〜A5ランク
3位 オホーツク産ホタテ玉冷大(1kg)
4位 2022年10月下旬〜11月上旬お届け!JA中野市ぶどう部会旬のシャインマスカット1kg以上産直品
5位 鉄板焼ハンバーグ デミソース 20個

参照:ふるさと納税ガイド(参照:2022年10月28日時点)

ふるさと納税をしない場合は、納税に対してリターンはありません。しかし、ふるさと納税を利用した場合は、寄付額に対して控除と返礼品によるリターンが得られるというメリットがあるのです。

自己負担以上に実質的なリターンが大きくなることがある

ふるさと納税の返礼品は、寄付金額に対する金額の割合の上限を3割にすることが定められています。つまり、1万円の寄付をすれば最大3,000円の価値を持つ返礼品が受け取れるということです。控除上限額の範囲内で寄付額を増やせば、自己負担となる2,000円を差し引いても大きなリターンが得られます。

ふるさと納税をおこなうサイトによっては、寄付額に対してポイントなどの還元が受けられるので、還元も含めれば自己負担額を大きく上回るリターンが得られる可能性もあります。

<主なふるさと納税サイト>

ふるさとチョイス https://www.furusato-tax.jp/
さとふる https://www.satofull.jp/
楽天ふるさと納税 https://event.rakuten.co.jp/furusato/
ふるなび https://furunavi.jp/
ふるさとプレミアム https://26p.jp/
JALふるさと納税 https://furusato.jal.co.jp/
ANAのふるさと納税 https://furusato.ana.co.jp/
JRE MALLふるさと納税 https://www.jreastmall.com/shop/furusato/top.aspx
三越伊勢丹ふるさと納税 https://mifurusato.jp/
au PAYふるさと納税 https://furusato.wowma.jp/
ふるさとパレット https://tokyu-furusato.jp/
ふるぽ https://furu-po.com/
ふるラボ https://furusato.asahi.co.jp/
47CLUBふるさと納税サイト https://www.47club-furusato.jp/
ポケマルふるさと納税 https://poke-m.com/furusato

ふるさと納税の申請方法

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ふるさと納税の申請方法は下記の2つがあるので、どちらで申請するべきか確認しておきましょう。

  • ワンストップ特例制度
  • 確定申告

ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度は、自治体に申請書を提出することで税金の控除が受けられる制度です。この方法で申請する場合は確定申告が不要です。

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引用:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」(参照:2022年10月31日)

ただし、利用には以下の条件を満たす必要があります。

  • その年に寄付をおこなった自治体の数が5以下
  • その年に確定申告や住民税申告をおこなわない

幅広い自治体に寄付をしている場合や、確定申告の義務のある方、ふるさと納税以外の目的で確定申告をする方は、ワンストップ特例制度は利用できないので、通常の確定申告をおこなうようにしましょう。

確定申告

ふるさと納税を確定申告で申請する場合に必要になる書類は以下の通りです。

  • 寄附金受領証明書
  • 源泉徴収票
  • 還付金受取用口座番号
  • マイナンバーカード

必要書類は納税者や納税方法によっても異なりますが、自治体から発行される寄附金受領証明書は必須です。自治体から送付された書類は必ず保管しておきましょう。

ふるさと納税をするなら控除上限額に注意

ふるさと納税は利用せずに納税するよりも、返礼品によるリターンが大きい制度ですが、所得によって変動する控除上限額を把握しなければ最大限に活かすことができません。

控除上限額は、医療費控除や住宅ローン控除など、他の控除制度の利用状況によっても変動するので複雑です。控除上限額の範囲内で、返礼品をもらいながらその土地の応援ができるふるさと納税を賢く活用しましょう。

著者プロフィール
大谷 惇途

慶應義塾大学卒業。投資・ローン・税金などの金融分野を中心に5年以上の記事執筆経験がある金融ライター、現在はフリーランスで活動中。学生時代から株式投資を中心にさまざまな投資を行う。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。