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インテリアの旅に出よう
Vol.10 “至福のとき”を実感できる温泉宿 里山十帖

“住空間や食、暮らしの本質が見えてくる

2号続けてご紹介している空間デザインやインテリアが素敵なホテル。今回は寒い季節に恋しさが増す、とっておきの温泉宿をご紹介します。

山間のひっそりとした秘湯の宿が、約2年間の大規模なリノベーションを経て、「里山十帖」として生まれ変わったのは2014年2月のこと。プロデュースしたのは、デザイナーから雑誌編集長となり、日本の食事情を学ぶため新潟へと移住した岩佐十良(とおる)氏。宿をひとつのメディアとしてさまざまなトピックを掲げ、暮らしにとって“本当に大切なこと”を発信している、そんな温泉宿です。

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ロビーでは、大平隆一氏の彫刻作品『福小槌』が出迎えてくれます。右手のディプロマットチェアに座ってチェックインを。

フロントのあるレセプション棟では、まず建物の迫力に圧倒されます。多いときには42mを越すという豪雪に耐えるための太い梁と柱、10mにおよぶ吹き抜け。現在では再現が難しい総欅造りであることに加えて、釘を使わずに組み上げられているというから驚きです。その文化的価値のある建物を取り壊すことなく、徹底的な断熱を施し、快適性を実現。そうすることで雪国ならではの、この立派な古民家を守ったのです。

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左:レセプション棟2階のラウンジにはエッグチェアやバタフライスツールなどの名作家具が。右:ダイニングの特別室。豪雪地の古民家ならではの迫力ある建築とモダンな内装に注目。

建物に続いて注目すべきは、食。ダイニング「早苗饗-SANABURI-」では、ミシュランガイド関西の三つ星店で磨いた日本料理の技とアーユルヴェーダの思想を融合した料理がいただけます。

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左:9品もの滋味深い料理が供されるディナーコースの、実はメインディッシュだという南魚沼産コシヒカリ。右:朝食では、日替わりの惣菜のほか、土鍋でつくる味噌汁などがいただけます。

無農薬・有機栽培の野菜や山菜を中心とした料理は、どれも体に染み入るようなやさしい味。雪室での保存のほか、郷土料理の調理法を取り入れ、天然醸造や無添加の調味料を使っていることもあり、素材のもつ力を存分に味わうことができます。コースのクライマックスは、日本一の米と言われる南魚沼市西山地区産のコシヒカリ。テーブルで土鍋に火をかけて炊き上げた、ご飯のおいしさは格別です。

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メゾネットタイプの202号室には、バルセロナチェアやコンスタンチン・グルチッチの360°コンテナなどが使われています。

レセプション棟から客室棟へと足を踏み入れると、空間の雰囲気は大きく変わります。白い壁に白木を多用した明るい客室は全部で12室。それぞれに国内外のデザイナーによる名作家具が配され、窓の景色や部屋付きの露天風呂を楽しみながら、それらの使い心地も吟味できるのです。ショールームで家具を試せるのは数分のみ。しかし、ここでは実際の住空間をイメージしながら、リアルな体験として家具の良さを知ることができます。

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左:館内にあるライフスタイルショップ「THEMA cafe & product」。右:食材やテーブルウェア、家具、照明、寝具、ルームウェア、タオルなど品揃えの幅広さは圧巻。

しかも、滞在を通して、宿のなかにはある物で気に入ったものがあれば、その多くが館内のライフスタイルショップで購入することもできるのです。

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左:建築家、海法圭氏が設計した角部屋の204号室。アーコールのチェアやテーブル、オリジナルデザインのマーガレット・ハウエルのベンチなど、曲線美が目を引く家具を配置。右:303号室はさまざまなブランドとコラボレートして、期間限定でスタイリングが変わります。家具はハンス・J・ウェグナーのデイベッドなどを導入。

部屋のタイプも数種用意。下階がリビングで上階がベッドルームになったメゾネットタイプや、リビングとベッドルーム、テラスの3つにゾーン分けされたコーナースイート、畳にベッドを置いたツインルームなど、好みや用途に合わせて選択が可能です。

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百名山に数えられる巻機山(まきはたやま)を眼前に望む、絶景の露天風呂。

そして、忘れてはならないのが温泉の素晴らしさ。まるで美容液のように、とろりとした柔らかな泉質なのです。湯上がりの肌はホカホカつるつる。朝もやのなか、青空の下、満点の星を眺めながら……、滞在中は何度でも入りたくなる気持ちの良さです。

古民家に見る先人の技に圧倒され、名作と謳われる家具にくつろぎ、米や野のおいしさに感動し、温泉に癒され、自然の恵みに感謝する。忙しい毎日で見えなくなっていたものに、改めて気付かせてくれる宿です。

里山十帖
サトヤマジュウジョウ

住所 :新潟県南魚沼市大沢1209-6
電話 :025-783-6777
宿泊 全12室 一泊2食26,800円〜
レストランのみの利用可

上越新幹線越後湯沢駅よりタクシーで約20分

http://www.satoyama-jujo.com