LIFE WITH PHOTOGRAPHS

写真家と一緒に成長する喜び
アートディレクターの後智仁さんが写真をコレクションするようになったのは、以前に勤めていた広告代理店を退職し、独立して事務所を立ち上げた頃。都内に2カ所あるオフィスにはたくさんの作品が置かれている。壁はもちろん本棚の前、テーブルの上など置き場所はさまざま。重ねて置かれているところもあるけれど、取り合わせが面白くてごく自然な感じだ。後さんは美大にいた頃から写真やアートが好きで、親近感はあったという。「美術館やギャラリーにはよく行っていました。友達が展示することもありましたし。でも、その頃はアートや写真を買うのは現実的なこととは思えなかった。どこで、どうやって買っていいのかもよくわからなかったですし」コレクションを始めたきっかけは、仕事で一緒になったカメラマンの作品を買ったことだった。「少し年を取ったせいか、自分の好きな場所に絵や写真をかけたりするのもいい人生だな、と思ったんです。アートディレクターとしてカメラマンと仕事していると、一緒に飲んだり話したりする機会もある。彼らに対する思い入れもあるし、特に意識しなくても入っていきやすかった」知り合いの百々新が、木村伊兵衛写真賞を受賞したのを機に購入したこともある。「若い頃から一緒に仕事をしてきたので、ともに成長してきたような気がしていて、彼が受賞したときにはうれしかったですね」

アートディレクターの後智仁さんが写真をコレクションするようになったのは、以前に勤めていた広告代理店を退職し、独立して事務所を立ち上げた頃。都内に2カ所あるオフィスにはたくさんの作品が置かれている。壁はもちろん本棚の前、テーブルの上など置き場所はさまざま。重ねて置かれているところもあるけれど、取り合わせが面白くてごく自然な感じだ。
 後さんは美大にいた頃から写真やアートが好きで、親近感はあったという。「美術館やギャラリーにはよく行っていました。友達が展示することもありましたし。でも、その頃はアートや写真を買うのは現実的なこととは思えなかった。どこで、どうやって買っていいのかもよくわからなかったですし」

 コレクションを始めたきっかけは、仕事で一緒になったカメラマンの作品を買ったことだった。「少し年を取ったせいか、自分の好きな場所に絵や写真をかけたりするのもいい人生だな、と思ったんです。アートディレクターとしてカメラマンと仕事していると、一緒に飲んだり話したりする機会もある。彼らに対する思い入れもあるし、特に意識しなくても入っていきやすかった」

 知り合いの百々新が、木村伊兵衛写真賞を受賞したのを機に購入したこともある。「若い頃から一緒に仕事をしてきたので、ともに成長してきたような気がしていて、彼が受賞したときにはうれしかったですね」

ギャラリーが出会いをつくってくれる
こうして最初は知り合いの作品を買うことから始めた後さんは、次第に面識がない作家のものも購入するようになった。そのうちに六本木のIMA CONCEPT STOREがオープン。もともとアマナの仕事をしていたこともある後さんにとっては、気軽に入れる場所になった。後さんがアートよりも写真に親近感を覚えたのは、雑誌等でも気楽に素敵な作品に出会うことができるカジュアルさ。一点物のアート作品に比べると、手頃な値段のものが多いのも写真の魅力だという。作品を買うようになると、ギャラリーのスタッフも気にかけてくれるようになったという。個展のオープニングレセプションなどに招待してくれて、作家と会う機会を設けてくれることもある。「自分が普段から情報を集めて、というタイプではないので、向こうから情報が入ってくるようになるとなまけものな僕にはすごく便利なんです。僕の好みかな、と思うものがあると『これ後さん好きそう!!』と声をかけてくれる。ギャラリーが出会いを作ってくれる感じです。それに作家と話をしながら作品を見ると、そのバッググラウンドや作家さんの人生観みたいなものを知ることができて、また違って見えてきますよね。で、ふと気付くと、結構な数になっていました」と後さん。7割が写真だという。コレクションはオフィスに飾っている。オフィスの一角には写真をかけるためのスペースも作ったが、いまそこには何もかかっていない。ネルホルの8連作のために作られたものなのだが、いま、オランダでの展覧会のために貸し出されているのだ。「気に入っている作品が写真集や作品集の表紙になったり展覧会に出品されたりするのは、なんかうれしいですよね」

こうして最初は知り合いの作品を買うことから始めた後さんは、次第に面識がない作家のものも購入するようになった。そのうちに六本木のIMA CONCEPT STOREがオープン。もともとアマナの仕事をしていたこともある後さんにとっては、気軽に入れる場所になった。後さんがアートよりも写真に親近感を覚えたのは、雑誌等でも気楽に素敵な作品に出会うことができるカジュアルさ。一点物のアート作品に比べると、手頃な値段のものが多いのも写真の魅力だという。
 作品を買うようになると、ギャラリーのスタッフも気にかけてくれるようになったという。個展のオープニングレセプションなどに招待してくれて、作家と会う機会を設けてくれることもある。「自分が普段から情報を集めて、というタイプではないので、向こうから情報が入ってくるようになるとなまけものな僕にはすごく便利なんです。僕の好みかな、と思うものがあると『これ後さん好きそう!!』と声をかけてくれる。ギャラリーが出会いを作ってくれる感じです。それに作家と話をしながら作品を見ると、そのバッググラウンドや作家さんの人生観みたいなものを知ることができて、また違って見えてきますよね。で、ふと気付くと、結構な数になっていました」と後さん。7割が写真だという。コレクションはオフィスに飾っている。オフィスの一角には写真をかけるためのスペースも作ったが、いまそこには何もかかっていない。ネルホルの8連作のために作られたものなのだが、いま、オランダでの展覧会のために貸し出されているのだ。「気に入っている作品が写真集や作品集の表紙になったり展覧会に出品されたりするのは、なんかうれしいですよね」  

未来の作品への投資として
最近、お気に入りのシャルル・フレジェは、アメリカの写真雑誌『Aperture』で作品を見て気になり、ギャラリーに頼んで探してもらったものだ。「民族的なお祭りで仮装した人々のポートレイトなどを撮影しているフォトグラファーです。見たことのない不思議なヴィジュアルの魅力に衝撃を受けました」コレクションするようになってわかったこともある。作家の作品を買うというのは、単なるモノを買うという行為だけでなく、その作家に賛同し、未来の作品への投資でもあるということ。また後さんは、額装という新しい楽しみにも出合えたという。「ギャラリストに額屋に連れて行ってもらったんです。同じ作品でも額を変えると印象が変わって、作品の別の良さが見えてくる。飾る場所を変えるときに額も一緒に変えたりして楽しんでいます」いまも少しずつコレクションは増えているが、特に予算は決めていないという。「買うときはインスピレーションですね。直観的に買っています。有名な作家のものもいいけれど、できれば若い作家の作品を買いたい。『写真とはこうあるべき』といった先入観にとらわれず、写真もアートも同じ地平にあるようなものに最近は、興味を持っています」出版にも興味があるという後さんが作った『HELLO//TEXAS』はその第一弾ともいえる写真集だ。同名のTシャツ店のオーナーが集めたヴィンテージTシャツをホンマタカシが撮影したもの。脱力する絵柄のTシャツにテキストがついている。またこれからは若手作家を世に出す手伝いもしてみたいそう。こうして若手の活躍の場が広がることでコレクションの楽しみも広がる。作品を買うことから一歩踏み出して、作家や作品とよりディープに関わることができる。写真がもっと楽しくなるつきあい方だ。

最近、お気に入りのシャルル・フレジェは、アメリカの写真雑誌『Aperture』で作品を見て気になり、ギャラリーに頼んで探してもらったものだ。「民族的なお祭りで仮装した人々のポートレイトなどを撮影しているフォトグラファーです。見たことのない不思議なヴィジュアルの魅力に衝撃を受けました」
 コレクションするようになってわかったこともある。作家の作品を買うというのは、単なるモノを買うという行為だけでなく、その作家に賛同し、未来の作品への投資でもあるということ。また後さんは、額装という新しい楽しみにも出合えたという。「ギャラリストに額屋に連れて行ってもらったんです。同じ作品でも額を変えると印象が変わって、作品の別の良さが見えてくる。飾る場所を変えるときに額も一緒に変えたりして楽しんでいます」
 いまも少しずつコレクションは増えているが、特に予算は決めていないという。「買うときはインスピレーションですね。直観的に買っています。有名な作家のものもいいけれど、できれば若い作家の作品を買いたい。『写真とはこうあるべき』といった先入観にとらわれず、写真もアートも同じ地平にあるようなものに最近は、興味を持っています」
 出版にも興味があるという後さんが作った『HELLO//TEXAS』はその第一弾ともいえる写真集だ。同名のTシャツ店のオーナーが集めたヴィンテージTシャツをホンマタカシが撮影したもの。脱力する絵柄のTシャツにテキストがついている。またこれからは若手作家を世に出す手伝いもしてみたいそう。こうして若手の活躍の場が広がることでコレクションの楽しみも広がる。作品を買うことから一歩踏み出して、作家や作品とよりディープに関わることができる。写真がもっと楽しくなるつきあい方だ。  

PROFILE1971年生まれ。武蔵野大学資格伝達デザイン学科卒業後、1995年博報堂入社。2008年に「WHITE DESIGN」を設立。ユニクロなどのアートディレクション/クリエイティブディレクションを手がける。共著に『HELLO//TEXAS ある意味、アートピースとしてのヴィンテージTシャツ』(DU BOOKS)。