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世界一の時間と出会う_SUITCASE

ロンドンで過ごすロイヤルな時間

エリザベス女王を筆頭に、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、そして故ダイアナ元妃と、世界中の誰もがその顔を知っている英国ロイヤル・ファミリー。街のお土産ショップに行けば、彼らのポストカードや人形、マグカップなどの王室グッズで溢れている。しかし、英国王室が親しまれているのは、海外プレスや観光客からだけではない。現在でも、英国の一般家庭では、一家団欒のクリスマスの午後にテレビから恒例の女王のスピーチがテレビから流れ、また2011年のウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤル・ウェディングの際には、英国中のあちこちの住宅街の道路が通行止めになり、人々はストリート・パーティーを楽しんだ。多くの英国人にとって王室は、決して実際に交わることはないながらも、実は生活のなかで身近な存在ともいえるのだろう。そんな英国王室と関わりのある場所として、一番に挙げられるのが、エリザベス女王の公邸として知られるバッキンガム宮殿。ヴィクトリア女王が即位した1837年に公式の宮殿となり、現在も女王の住居と執務の場としての機能だけではなく、王室庁の事務本部も置かれている、世界有数の実際に使われている王宮のひとつである。毎日執り行われる(冬季は1日おき)衛兵交代は、ロンドンの象徴ともいえる。ロイヤル・ベビーで注目を集めているウィリアム王子とキャサリン妃一家が居住するケンジントン宮殿は、王子が育った場所でもある。また宮殿のあるケンジントン・ガーデンズには、彼の母、故ダイアナ元妃にちなんだダイアナ・メモリアル・プレイグラウンドもあり。王子と深いつながりのある場所である。

女王陛下が所有する都会のオアシス

国際都市ロンドンは、都会の喧噪と同時に、公園の深い緑で満ちている。常に観光客で賑わっているロンドンの公園ではあるが、平日のランチタイムには、近辺のオフィスからサンドイッチと飲み物を抱えた人々が公園に集まってくる光景もあちこちで見られる。少しでも太陽を満喫しようと芝生に寝転がって、目を閉じる人、ひたすら読書に励む人……英国の芝生は、決して立ち入り禁止の観賞用ではなく、座って、寝て楽しむ、屋外の絨毯のような存在なのだ。そんなロンドンの公園の多くは、実は英国王室のもの。王立公園は、ロンドン市内と近郊に8ヵ所あり、その土地面積は合計でほぼ2000ヘクタールに及ぶ。それぞれ特徴のある王立公園ではあるが、ロンドンを訪れる人々にもっともなじみがあるのは、バッキンガム宮殿のすぐ北側に広がるグリーン・パークと、大きな湖のあるハイド・パークではないだろうか。グリーン・パークは、王立公園のなかでは最も小さいながらも、高級ホテルやショップの並ぶメイフェアに近く、ショッピングに疲れた足を休めるにも最適な場所。1660年にこの公園をつくった、当時の国王チャールズ2世の毎日のウォーキングの場でもあった、というのも頷ける都会のオアシスである。一方、ハイド・パークは、乗馬コースもあるほどの広大な公園で、スピーカーズ・コーナーがあることでも有名だ。過去には、「資本論」を書いたマルクスや、ロシアの革命家レーニン、デザイナーで詩人のウィリアム・モリスなどが、壇上に上がっている。現在でも、誰でも自由に演説や討論ができる場所である。

ショッピングも宿泊もロイヤルな気分を堪能

英国では、エリザベス女王、エディンバラ公、そしてチャールズ皇太子の3人がそれぞれ認定した業者だけが、王室御用達の証である王家の紋章を掲げることができる。その品目は多岐に及び、スーパーマーケットでは誇らしげに小さなライオンの紋章がついた、食器用洗剤も見かけることができる。日本でも有名な、王室御用達の食料品店、フォートナム&メイソンは、実は紅茶やビスケットにとどまらず、ジュエリーやハンドバッグ、部屋着まで揃う総合ショップ。1階の食品売り場は常に観光客で溢れているが、上階は比較的静かでのんびりと買い物をすることができる。300年の歴史を誇る王室御用達のワイン・スピリッツ商、ベリー・ブラザーズ&ラッドは、目と鼻の先にあるセントジェームズ宮殿と、かつて地下道でつながっていて、王家や貴族の紳士たちが外に出ることなくこっそりワインを調達できた、という噂もあるほど、王室とのつながりが深い。いまでも重厚感のある店内では、好みのワインを相談すれば、経験豊富なスタッフが地下のセラーから厳選したボトルを持ってきてくれるという、サービスが受けられる。王室御用達の冠はないものの、歴史的に王室と深いつながりをもっているのが、メイフェアにあるホテル「クラリッジズ」。1860年代から、ヴィクトリア女王とアルバート公をはじめ各国の王室や要人に利用されてきた。幼少期からファミリー・ランチでここを訪れたという、エリザベス女王の甥でデザイナーのデイビッド・リンリーが担当したスイートルームが合計25室あり、さらに優雅な時間を演出してくれる。

  • バッキンガム宮殿

    近衛兵の交代は、ロンドン最大の観光名所。マーチング・バンドの堂々たる音楽に合わせて執り行われる。兵隊の制服は、所属する連隊によって帽子の飾りやボタンの配置が異なる。

  • ケンジントン宮殿

    王族の住居と、一般公開されているステートルームがひとつ屋根の下におさまっているケンジントン宮殿。臨時展はファッション関係のエキシビションなど、女性向きの企画が多い。

  • グリーンパーク

    ピカデリーからバッキンガム宮殿に向かってのびるグリーン・パークは、まさに都会の喧噪とロイヤルなエリアの間に横たわる緑のオアシスだ。

  • ハイドパーク

    ボートが浮かぶ大きな湖はトライアスロンの会場となることもある。乗馬やサイクリングなどのアクティビティが楽しめるほか、初夏のローズガーデンではバラの鑑賞も。

  • ベリー・ブラザーズ&ラッド

    300年の歴史を感じさせるベリー・ブラザーズ&ラッドの店内には、古い壁や梁、前身であるコーヒーハウス時代に使われた天秤秤などがそのまま残されている。

  • クラリッジズホテル

    「アールデコの宝石」という異名を持つクラリッジズでは、リンリーのデザインしたスイートが人気。オリジナルの特徴を残しつつ、モダンなアレンジを加えている。

フォートナム&メイソン

フォートナム&メイソンではショッピングだけではなく、レストランやバーも。人気のアフタヌーン・ティーは、85種類の豊富なお茶から選ぶことができる。

http://www.fortnumandmason.co.jp/

photography: (1) Left_James Emmerson, Right_cVisitBritain / Pawel Libera (2) Left_ cVisitBritain / Britain on View, Right_ Brent Winebrenner (3) Jason Hawkes (4) Left_ Sylvain Sonnet Right_cAnne Marie Briscombe (5) VisitBritain / Britain on View