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世界一の時間と出会う ― SUITCASE

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SPAIN


融合したカトリックの

ワーグナーの世界観を愛した悲劇の王による未完の城

東はポーランド、チェコ、西はオランダ、ベルギー、フランス、北はデンマーク、南はオーストリア、スイスに囲まれた国、ドイツ 連邦共和国。深い森や雄大な大河に代表される豊かな自然と、キリスト教を背景にした長く複雑な歴史を持つこの国には、全国津々浦々に個性的な都市が点在する。興味深い街が多すぎて、1ヵ所の滞在では終われないのが、ドイツの旅の醍醐味だ。

中世の面影を残す城や教会、庭園や街並みに加え、近現代史を飾るモダニズム建築や産 業遺産なども大切に保存されているドイツ。歴史上大きな役割を果たしてきたものは、ユネスコの世界遺産に登録されている。その数は現在、なんとヵ所(うち4つは自然遺産)。せっかくドイツを旅するなら、そんな世界遺産をはじめとした歴史の舞台をゆっくりと巡ってみたい。

世に思いを馳せるなら、当時の街並みが残る7大街道やライン川に沿って旅をしよう。中でも最も高い人気を誇る街道は、木組みの家並みとのどかな田園風景が印象的なロマンティック街道だ。南側の起点となるフュッセン近郊には、世界遺産ではないが圧倒的な人気を誇る城、ノイシュヴァンシュタイン城が ある。ルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作『ルートヴィヒ』など数々の芸術作品のモデルにもなったルートヴィヒ二世の命により1869年に起工したこの優美な城は、ワーグナーのオペラと築城に情熱を注いだ王の悲劇の物語とともに人々を魅了し続けている。

フュッセン郊外のヴィース村には世界遺産、ヴィースの巡礼教会が。1754年に完成した簡素な外観の建物は、一歩足を踏み入れると壮麗な内装に圧倒されること必至だ。大天井を飾る美しいブルーのフレスコ画は、建築を手掛けたドミニクス・ツィンマーマンの兄 ヨハン=バプティストの手によるもの。ロマンティック街道沿いには他にもフランケンワインの産地ヴュルツブルクや、モーツァルトゆかりの街アウクスブルクなど数々の名所があるが、特に人気があるのは中世の家並みが残るローテンブルク。貴族の邸宅など歴史ある建物を改装したホテルも多く、のんびり歴史の息吹を体感することができる。

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七つの街道やライン川を巡り世界遺産の魅力に触れる

メルヘン街道は『グリム童話集』ゆかりの地をめぐる、600キロに及ぶ街道。グリム兄弟が長年暮らした街として知られるカッセルには、2013年に世界遺産に登録された ばかりの欧州最大規模の山地公園、ヴィルへルムスヘーエ公園がある。見どころは「水の芸術」で、夏期の水曜日と土曜日にはヘラクレス像の下の階段状の滝を大量の水が流れ落ち、いくつもの滝や橋を過ぎて、最後には大噴水が吹き上がるという一大ショーが楽しめる。

ドイツ西部を流れるライン川の旅ならクルーズ船がおすすめ。マインツからケルンまでの約185キロを辿る船で、ハイシーズンには上り下りとも1日5便が運航している。ワインの産地の多い中流部には人気の街が並ぶが、その要衝といえばやはりケルンだ。この街のランドマークは世界遺産のケルン大聖堂。1880年落成のゴシック聖堂には欧州2番目の高さを誇る157メートルの塔が。533段の螺旋階段を登れば、展望台からケルンの街の素晴らしい風景を堪能できる。

バロック式やロココ式の歴史的建造物の一方で、もうひとつのドイツ的な建築として思い出されるのが、世紀前半のモダニズム建築。世界遺産にはヴァイマールとデッサウのバウハウスとその関連遺産群、ツォルフェライン炭鉱業遺産群、ベルリンのモダニズム集合住宅群などが登録されている。バウハウスは1919年にヴァイマールに設立された、美術や工芸と建築の総合教育を行う学校。初代校長ヴァルター・グロピウスが設計したデッサウ校舎とマイスターハウスの無駄が極限まで排除されたデザインには、バウハウスの建築理念が余すところなく体現されている。またエッセンのツォルフェライン炭鉱業遺産群にある第採掘鋼はバウハウス様式に則って 1930年に建設されたもので、〝世界一美しい 炭鉱〞の別名も。現在は鉱業の歴史や産業建築を紹介する施設として整備されている。

さて、歴史の勉強はここまで。ドイツに行くならサッカーとビールは外せない。ブンデスリーガには香川真司や岡崎慎司、内田篤人ら日本人が多く所属しているので、シーズン中なら是非スタジアムに足を運びたい。ベルリンを訪れたらヘルタ・ベルリンの本拠地 オリンピアシュタディオンで、熱狂的サポーターの大合唱に身を震わせて。強豪バイエルン・ミュンヘンのお膝元ミュンヘンはビールの街としてもお馴染み。市内にはブルワリー直営のレストランやビアガーデンがいくつもあるので、是非新鮮なビールを試してほしい。秋には1810年に始まった世界最大 規模のビールの祭典、オクトーバーフェストも。乾杯の歌「アイン・プロージット」を一緒に歌えば、地元民気分が味わえるはず!

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    HOHENSCHWANGAUホーエンシュヴァンガウ

    ルートヴィヒ二世の夢の城「ノイシュヴァンシュタイン城」。バロック、ゴシックなど多彩な様式をミックスした絢爛な装飾は圧巻。

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    KASSELカッセル

    約300年前に整備されたカッセルの「ヴィルヘルムスヘーエ公園」。頂上に鎮座するヘラクレス像も含めて2013年に世界遺産に登録された。

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    ROTHENBURGローテンブルク

    ロマンティック街道沿い屈指の人気タウンがローテンブルク。カフェに入ったら名物菓子シュネーバルやフランケンワインを楽しんで。

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    DESSAUデッサウ

    バウハウスは1925年にデッサウに移転。当時としては珍しいガラスのファサードが印象的な校舎はヴァルター・グロピウスの設計によるもの。

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    ESSENエッセン

    「エッセンのツォルフェライン炭鉱業遺産群」。施設内にはデザイン博物館、レッド・ドット・デザイン・ミュージアムもあり、こちらも必見。

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    WIESヴィース

    1983年に世界遺産に登録された「ヴィースの巡礼教会」。フュッセン郊外の不便な地にあるが、ロココ様式の壮麗な内装は必見だ。

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    KÖLNケルン

    ケルン中央駅そばの「ケルン大聖堂」は1248年に着工、600年以上をかけ1880年に完成。11~12月にはクリスマスマーケットで賑わう。

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    MÜNCHENミュンヘン

    毎年秋の「オクトーバーフェスト」にはレーベンブロイやパウラーナーなどミュンヘン市内の6大ブルワリーが巨大テントで参加する。

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    BERLINベルリン

    首都ベルリンには歴史と未来が共存。1936年に誕生した「ベルリン・オリンピアシュタディオン」は2006年のサッカーW杯では決勝戦の舞台にもなった。

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