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世界一の時間と出会う ― SUITCASE

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SPAIN


スイスのリビエラとも称されるレマン湖南岸、そして冬のリゾート地として知られるサン・モリッツ。
古くからセレブリティに愛されてきた魅惑の地へ出かけよう。

セレブリティが選ぶレマン湖畔

スイスとフランスにまたがる三日月形の湖、レマン湖。スイス随一の名城と称されるシヨン城のある地としても知られ、古くから王侯貴族や芸術家など多くのセレブリティに愛されてきた。ルソーやヘミングウェイ、ストラヴィンスキーなどの作家や芸術家たちは、数々の名作をこのレマン湖畔で生み出したという。そんなセレブリティゆかりのスポットに足を運び、思いを重ねてみるのはいかがだろうか。

オードリー・ヘップバーンが晩年を過ごしたことで知られるのが、中世の街並みが美しいモルジュ郊外トロシュナ村。現在も、彼女が眠る小さな共同墓地には美しい花が手向けられているという。ココ・シャネルもレマン湖畔を選んだセレブリティのひとりで、モルジュから東へ約10キロのローザンヌに移住したシャネルは、その遺言によってボワ・ドゥ・ヴォー墓地に埋葬されている。さらにローザンヌから東へ20キロのヴヴェイへ。ここは政治的迫害を受けてアメリカを去ったチャールズ・チャップリンが家族との暮らしに選んだ地であり、彼が晩年をすごした邸宅は、ミュージアム「チャップリン・ワールド」として2016年にオープンした。

そして、レマン湖の東端に位置するモントルー。世界的人気ロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーはこの地に魅せられ、アパートとスタジオを購入。おなじみの楽曲のほとんどが、モントルーで録音されているのだとか。レマン湖畔は鉄道の便がよく、ジュネーヴからモルジュまでは電車で30分ほど。遊覧船もあるので、アイランドホッピングのように街を周遊するのも楽しい。

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サン・モリッツと世界遺産の鉄道

一方、スイス屈指の冬のセレブリティリゾートといえば、グラウビュンデン州のサン・モリッツだ。森と湖、ベルニナアルプスの名峰に囲まれた美しい街には、カラヤンやソフィア・ローレン、ジョン・レノン、エリザベス・テイラーらが足を運び、スキーなどを楽しんでいたという。現在も世界中からVIPが集うため、街には5つ星ホテルやブランドショップが建ち並ぶ。過去2回冬季オリンピックが開催されたことからウインタースポーツの聖地として知られているが、四季折々の絶景が楽しめるのも魅力で、季節を問わず世界中から観光客が訪れている

万年雪に染められたベルニナ山群や氷河が輝くアルプス、葡萄畑といった絶景を堪能するのに最適なのが、サン・モリッツを拠点とするレーティッシュ鉄道である。スイス最大の民営鉄道であるレーティッシュ鉄道のアルブラ線の一部とベルニナ線は、その周辺の美しい景観を含めて世界遺産に登録されている。

1904年に開通したアルブラ線は、サン・モリッツから北方に向かう89キロの路線で、そのうちトゥージスまでの67キロが世界遺産に登録されている。日本では「氷河特急」の名で人気の観光列車が走るのも、このアルブラ線だ。もうひとつのベルニナ線は、サン・モリッツからイタリアのティラーノまでを約2時間20分で結ぶ。絶景だけでなく、アルプスの難所を走らせるために結集した、当時の最新鉄道技術も見どころ。65メートルの高さを誇るランドヴァッサー橋や、アルブラ峠を抜ける約6キロのアルブラトンネルなど、山岳鉄道の模範となる技術が随所に施されている。1800メートル以上ある高度差を、ラック(歯車)を使わず走らせる「粘着式鉄道」の機構も、レーティッシュ鉄道が世界遺産のリストに加わった大きな要因だ。

このレーティッシュ鉄道が、日本の箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいるのをご存知だろうか。1919年に開通した箱根登山鉄道は、レーティッシュ鉄道の前身となるベルニナ鉄道の粘着式鉄道をモデルにつくられたことから、1979年に姉妹鉄道提携を締結。2016年秋からは、日本との友好の証として桜のデザインが施されたスペシャルモデルの車両が登場している。これまでもスイスで「箱根登山電車」と漢字で描かれた車両を走らせたり、両鉄道で車両を同じ塗装にしたりなどの演出が行われる、古くから日本になじみ深い鉄道なのだ。

小さな国ながら、起伏に富み、文化に富み、想像以上に多様性に満ちているスイス。避暑地やウインターリゾート地として世界中の人々が足しげく通うことからも、また多くのセレブリティが終の住処として選ぶことからも、神聖な魅力をもつ唯一無二の土地であることが伺える。

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    Morgesモルジュ × オードリー・ヘップバーン

    俳優メル・ファーラーとの離婚後、モルジュ郊外のトロシュナ村に家を購入。ユニセフの活動で世界中を飛び回りながらも、1993年に最期の時を迎えるまで家族とともに暮らし続けた。

  • a_オードリーの常設展のあるボル財団。2017年5月からは強い絆で結ばれた友人であったジバンシィ氏の協力で、名画の衣装やモルジュ市庁舎で行われた結婚式のウエディングドレスなどが見られる特別展が開催される。b_遺族とともに新しくつくられた記念広場にあるオードリーの彫像。c_モルジュ旧市街の大通りで開かれるマルシェにもよく訪れていたそう。

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    Lausanneローザンヌ × ココ・シャネル

    1944年のフランス解放後にスイスへ移住。1954年、71歳のときにパリで仕事を再開するが、パリではホテルに滞在し、ローザンヌに自宅を購入。

  • a_一時定宿にしていた「ボーリヴァージュ・パレス」。

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    Veveyヴヴェイ × チャールズ・チャップリン

    ヴヴェイ郊外にあり、ラヴォー地区の葡萄畑に囲まれたチャップリンの邸宅は、ミュージアムとして公開されている。

  • a_ミュージアム内のマノワール・ド・バン(チャップリン邸宅)。b_庭に建つチャップリン像。

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    Montreuxモントルー × フレディ・マーキュリー(クイーン)

    アルバム制作に訪れたモントルーに魅せられ、自宅とスタジオを購入したフレディ。現在、モントルーのカジノ内に、クイーンの特別記念館がある。

  • a_湖畔に立つフレディ像。b_春から夏にかけてはレマン湖クルーズもおすすめだ。

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    St. Moritzサン・モリッツ × ソフィア・ローレン...and more

    自転車やスキー板を置けるラック、キッズプレイコーナーなどを設けた快適なアルブラ線の新型車両。雄大なスイスの景観を、大型窓から堪能できる。

協力:スイス政府観光局(www.myswitzerland.com