Home > コラム > 子どもと一緒に楽しむ知育

“概念”の広がりを学んで言葉の力を育てよう

photo

今回は、3歳頃のお子さまに向けた言葉の意味の広がりを身につける知育についてご紹介します。モノを表す言葉と、それを「概念」としてとらえる力は、おうちにある食べ物や道具また図鑑などを見ながら養うことができます。語彙力と言葉がもつ意味の理解を深めて、言葉を上手に扱うための力を磨いていきましょう。

「概念」を理解するためにモノの名前を覚えよう

photo

言葉を学び始めたばかりの子どもにとっては、「トマト」という言葉が目の前にある赤い色の野菜を指していると理解できるのは当然のことではありません。
目の前の野菜が「トマト」と呼ばれていると理解し、それがひもづくことで「トマト」という概念を理解できるようになります。

「トマトは赤い。果物のように甘くない。生で食べられる。ケチャップの材料」というようにモノがもつ特徴の広がりを身に着けることは、言葉や概念を扱っていく力につながります。
言葉とそれが表すものを結びつけていくことで、言葉の意味で物事を考える「概念的思考」が刺激され、

●言葉の意味を正しくとらえる「受容的思考力」
●さまざまな属性から何を表すかを類推する「集中的思考力」
●そのものがもつ属性を正しく説明する「表現的思考力」
●言葉からさまざまな属性を発想する「拡散的思考力」

などが磨かれます。

言葉や概念を深めるための練習は、簡単なゲームと保護者の方のちょっとした声かけで実践できます。
親子タイムを楽しみながらお子さまの言葉の力を磨いていきましょう。

身近なものを言葉で表して概念の理解を深める

今回は言葉の練習と考える力を養うため、「あてっこゲーム」と「がっちゃんこゲーム」をご紹介します。
特別な資料を使うよりも、お子さまがふだん目にしているものや、日常的に使っているものを題材にすると、興味をもちやすくなります。お子さまのワクワク感を大事にしながら、言葉を使うことや考えることが楽しいと感じられる工夫をしてください。

これは何?「あてっこゲーム」のやり方

photo

おうちにある使い慣れた絵本や図鑑を用意してください。食べ物や生活道具などできるだけモノがたくさん載っているのがよいです。中身が充実していればイラスト集やシールブックなどもよいでしょう。

それらを一緒に見ながら、一つずつ「これは何かな?」とお子さまに尋ねてください。たとえば、お子さまが「トマト!」と答えられたら、「そうだね。トマトだね」とくり返して言葉を定着させます。このとき「トマトは何色かな?どんな形かな?」とモノの特徴について質問してお子さまに考えさせるとさらに効果的です。このとき「ヘタの部分が緑色」など、細部の違いに気づけたら「そうだね、ヘタの部分は緑色だね。よく気づいたね!」と褒めてくださいね。

もしお子さまの知らないものがあれば、「これは○○って言うんだよ」と教えることもよいですね。

モノの名前がたくさん言えたら次は、「キュウリを探してみよう!」とお題を出し、言葉からモノを見つける遊びをしてみましょう。

2つとも同じ「がっちゃんこゲーム」のやり方

photo

先ほどと同じように、絵本や図鑑などを用意します。今度はそこに描かれているモノの仲間をおうちのなかから探す遊びです。

たとえば絵本に時計が描かれていれば、「これは時計だね。おうちの中でこれと同じものを見つけてみて」とミッションを与えます。時計は掛け時計や腕時計など、モノによって見た目や使い方がちがうものがありますが、絵本にあるのもおうちにあるのも「同じ時計」であると認識してもらうことが、この遊びのねらいです。

もしかすると形が異なるなどでお子さまは「同じかな?」と迷ってしまうかもしれません。その際は、「時計は時間を知らせてくれるものだよね。おうちの中で時間がわかるモノってどれかな?」とモノの特徴を伝えて手助けすると効果的です。

言葉と実物をつなげるワークで、言葉を深みのある概念として捉えられるようになります。概念の理解が深まれば、「時計とはどんなモノか」を自分で説明できるようになります。

言葉で考える楽しさを育もう

子どもにとって新しく言葉やモノを覚えることはうれしい体験です。その体験をもっと楽しくするには保護者の方の声かけがとても大切。
「すごいね。もうこんなにたくさんのことを知っているんだね」と保護者さまからの褒め言葉は子どもには大きな自信になります。

言葉を使ったり言葉がもつ意味の広がりを知ったりすることが楽しい!と感じられる経験が普段の生活のなかで積まれるとよいですね。