日本の伝統的なお正月飾りには大切な意味があります。せっかくですから縁起良く、そしてセンス良く飾って、清々しい気持ちで新年を迎えましょう。今回は、お正月飾り基本の3点、飾るべき場所、飾ってはいけない日、処分の方法、マンションならではの選び方やレイアウト方法をご紹介します。
お正月飾りの基本の3点セット、それぞれの意味
お正月飾りの基本の3点セットは、門松、しめ飾り、鏡餅です。これらは年神様をお迎えする準備のためのものです。年神様は家に幸せをもたらしてくれるとされ、毎年お正月にその年の恵方からやってくると言われています。
門松は、神様をお迎えするための目印です。最近の門松には様々なデザインのものがありますが、神様を祀る(まつる)、神様を待つの意味をこめた飾りですから、松であることが肝心です。また神域であることを表すものですので、狛犬が2体いるように、松も2本1対が必要です。
しめ飾りは、しめ縄に橙や鶴、亀などの縁起物を飾り付けたものです。縁起良く年神様を迎えつつ、しめ縄で結界を張ります。結界には大掃除で清めた家の中を神域として保ったり、神様がもたらしてくださった幸運を逃さないようにしたりする役割があります。
酒造りの際の酒樽にしめ縄をはる風習がありますが、あれも酒精を閉じ込めて美味しいお酒ができるよう祈願するためのものです。
鏡餅は神様の依り代の役割があります。神様が人の世にとどまるためには依り代が必要と考えられ、その依り代として古来より丸い鏡が使われてきました。神社のご神体にも、丸い鏡が多く見られます。鏡餅はその鏡を模したものです。
飾るのは大掃除が終わってから、29日と31日はNG
このように深い意味と歴史を持つお正月飾りは、飾るタイミングも重要です。門松、しめ飾り、鏡餅は、神様をお迎えする準備が整った証ですから、大掃除が済んで家の中が清浄になった頃が良いでしょう。
ただし12月29日と31日に飾るのはタブーとされています。この2日間は昔から、「苦んち飾り」「一夜飾り」と呼ばれ、縁起が悪いものとされてきました。大晦日に慌てて飾ることが無いよう、前もって準備しておくと良いですね。
お正月飾りはその年限り、どんど焼きの時に処分を
お正月飾りはいつ片付ければ良いのか、また片付ける際はゴミとして捨てて良いものか、来年もまた使えるものか、悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。
まず毎年使えるかどうかに関してですが、お正月飾りは大切な神様をお迎えするためのものです。縁起をかつぐ行事でもありますので使いまわしはせず、毎年ごとに新しい物を準備しましょう。
片付ける日に関しては、門松としめ縄は松の内が終わる1月7日もしくは15日に。取り外したお飾りは、1月15日に「左義長」と呼ばれるお炊き上げの行事が神社などで行われますので、持参して供養、焼却をしてもらいましょう。これは「どんど焼き」という名前でもなじみ深い行事かと思います。お炊き上げは、元旦にお迎えした年神様をお見送りするためのもので、お盆の送り火と同じような意味を持っています。
鏡餅の片付けは、正月明けの11日、地域によっては20日など鏡開きの日に、お餅を木づちで割って頂きましょう。このような行事は最後までやりきってこそご利益があるものです。お正月飾りは、神様が触れたり宿ったりした物として丁重に扱いましょう。
マンションでのお正月飾りの選び方、レイアウト方法
マンションならではのお正月飾りの選び方とレイアウト方法をご紹介しましょう。まずは年神様の目印となる門松です。マンションのエントランスに大きな門松が飾られることが多いと思いますが、どうせなら我が家にも目印を付けておきたいもの。
そこで、門松としめ縄が一体化したコンパクトなお飾りを使って、新年を迎えるのにふさわしいお飾りをしましょう。選ぶ際の注意点は、神域の目印となる松の葉が2本ついていること、また結界をはるためのしめ縄がついていることです。リース状になったものなら手軽で、お正月らしいインテリアのアクセントになります。
このような正月飾りは玄関ドアに取り付けると良いでしょう。マンションの玄関ドアは磁石が付くことが多いので、マグネット式のフックを使えば、簡単に取り付け・取り外しができます。ドアの外側に取り付けができない場合は、内側でも大丈夫とのこと。心をこめた準備で神様をお迎えしましょう。
鏡餅は置く場所にこだわりましょう。鏡餅は欲しい幸運に関係する場所に置くことで、ご利益が得られるとされています。例えばキッチンに置いて家内安全、トイレに置いて無病息災、寝室に置いて子孫繁栄を願うなど、鏡餅はひとつだけではなく複数置いても問題ありません。昔は大きな鏡餅を床の間に置いて、小さな鏡餅を家の各所に置くといったこともされていました。
リビングに置く場合は、サイドボードの上やダイニングテーブルの上に置きましょう。周囲に果物を配したり、キャンドルを置いたりなどして、ちょっとおしゃれにアレンジするのも良いですね。
大切なことは、鏡餅は神様の依り代であることを忘れずに、敬い丁重に扱うことです。ゴミやホコリが掛かりやすい場所や、スピーカーの近くなどのうるさい場所、人の息が直接掛かる場所、足元に近い位置は避け、落ち着いた少し高い位置に飾りましょう。息が掛からない場所というのは、神棚や仏壇のろうそくの炎を、息で吹き消すのは無礼なこととされているのと同じ理屈です。
お正月飾りは、豊かな日本文化を感じさせる素晴らしい年中行事です。心を込めたお飾りで、気持ちの良い新年をお迎えくださいね。
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