テレワーク人口が増加していますが、ワークスペースの確保が難しい、自宅で仕事環境を整えるのが難しいといった悩みも。今回は、間取りや建材の工夫で、快適で仕事に集中しやすいワークスペースを作った3つのリフォーム事例をご紹介します。
都市部でテレワークが大幅に増加。
環境が整わず仕事がしにくい悩みも
テレワーク人口実態調査(※)によると、都市部ではテレワーク人口が大幅に増加しています。しかし家で仕事をするとなると、それなりの環境が必要です。同調査でもテレワークを実施して悪かった点の2位に、仕事をする環境が十分ではなく不便であることが挙げられています。
テレワークの悩みには、仕事に集中できる場所がない、生活と仕事のオンオフの切り替えが難しいといったことの他に、家庭内での音問題もクローズアップされています。家族の声が気になりオンライン会議がしにくい、逆に仕事中に家族が気をつかってストレスがたまるという声もあります。
今回は、快適な独立型の書斎を作った事例や、間取りの工夫で新たなスペースを生み出した事例など、仕事がしやすいワークスペースのリフォーム事例をご紹介します。
(※令和2年度テレワーク人口実態調査/令和3年3月国土交通省)
独立型の書斎を作ったリフォーム事例。
室内窓の取り付けで光と風を取り入れる
リビングの一角に独立型の書斎を作ったリフォーム事例です。海外赴任から戻られたお客様のご希望はブルックリンスタイルのインテリア。ヴィンテージ感があるネイビーオークの戸にはめ込まれたガラスを通して、書斎の壁に貼られたヘリンボーン柄のアクセントクロスが見えます。
壁で囲われた書斎は仕事に集中がしやすいのがメリットですが、ともすると閉鎖的になってしまいがち。こちらのお住まいでは、戸にガラスを入れたり、壁に大型の室内窓を取りつけたりすることで光や風をたっぷりと取り込み、明るく開放的な空間になっています。
これなら快適に仕事に集中できそうですし、リビングから書斎の奥まで視線が通るので、部屋を区切りつつ、空間に広がりを感じさせてくれます。
書斎の出入り口は上吊りタイプの引き戸です。床にレールが無いのでリビングとの一体感があり、開けっ放しでも邪魔になることがありません。
リフォームプランを立てる際には、室内窓の開き方、枠の色や壁紙選び、電源の位置など細部にまでこだわったとのこと。そのおかげで理想の書斎が完成しました。
このような個室タイプの書斎は音への配慮がしやすく、オンライン会議や電話での打ち合わせが多い仕事をするのに向いています。更に防音効果を高めたい場合は、ドアや建材に音配慮製品を使うといいでしょう。
ハーフクローズドのワークスペース事例。
さりげない目隠しでオープンでも落ち着く
こちらはリビングの一角にハーフクローズドのワークスペースを作ったリフォーム事例です。四方を壁で囲わなくても、壁紙の貼り分けや、縦格子のさりげない目隠しで、オープンでありながら落ち着いた独立感があります。
これなら部屋のコーナー部分などの空いたスペースに作りやすく、部屋を狭く感じさせることもありません。またリビングのエアコンが届きやすいのもメリットです。
こちらのワークスペースも内装から飾る小物まで、自分の好みに合ったものをしっかりセレクト。お気に入りの物に囲まれた空間で、仕事も趣味も楽しくはかどりそうです。
間取りを整理し新たなスペースを生み出した事例。
ワークスペース+ひろびろLDKを実現
あまり使われていないコーナー部分を片付けたり、不要な間仕切り壁を取り払ったり、間取りを整理整頓して空間を効率的に生かすことで、ワークスペースを作ったリフォーム事例です。
キッチンの周囲の壁を一部取り払うことで廊下の一部を部屋として活かし、また効率があまりよくなかった収納は移動、リビングに取り込むことで元のリビングの広さを確保したまま奥様専用のワークスペースを新たに生み出すことができました。
新たなワークスペースはリビングのソファーの向こう側にあります。明るく広々とした空間の中、ソファーと作業台でさりげなく仕切ることで独立感を生み出し、仕事に集中ができます。作業台まわりはどうしても散らかりがちですが、手元は目隠しされているのでリビングからの視界はスッキリ。
リビングはこれまでのような細長い形から、キッチンとの一体感がある奥行を感じさせる形に変わっています。テレビが置いてある白い床の部分は、今回新たにリビングに取り込まれたスペースです。
こちらのワークスペースは、必要な物にすぐ手が届くように計画されています。以前は別の場所で仕事をしていたのですが、リフォームによって作業動線が短くなり、以前のアトリエより使い勝手がとてもよくなったそう。明るく風通しがいい場所で快適に仕事ができるようになったと大変喜んでいらっしゃいました。
こちらは間仕切り壁を取り払ったキッチンの様子です。周囲をぐるりと囲んでいた壁を取り払うことで、これまでデッドスペースになりがちだった廊下が生活空間としても活かせるようになりました。またキッチンに外からの光が差し込むようになり、とても明るくなりました。
これらの他にも、パントリーの一部や洗面所の脇にワークスペースを作った例もあります。家の中にはまだまだ未活用空間があります。リフォームの際の間取りや建材選びの工夫で、快適に仕事がしやすいワークスペースづくりを目指してみてくださいね。
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一級建築士事務所 OfficeYuu代表 Yuu
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの現場経験や相談実績をもち、住宅リフォームコンサルタントとして快適な住まいづくりのノウハウを発信している。